一つ刺すごとに、手にぐんにゃりとする肉の感触が伝わる
気持ち悪い、なんて気持ちの悪い、
ここは地獄なのではないかと思うほどの赤、赫、紅
槍の重み、同時に伝わるのは赫の重み
なんて暗くて、思い、恨みの籠った言霊が臓腑の中でぐずぐずと騒ぎ立てた
振り返れば真っ黒な装束を着、陰から蔭へと飛び渡る、影
ふと見えたその影は赫に塗れ、此方を見て笑っていた
あの、屋敷の食事の支度が出来たと呼びに来るあの顔と寸分変わらないそれを浮かべて
「だーんな、何呆けてるの?」
とんとん、肩を叩かれふと我にかえる
今まで己は何をしていた、呆けている間、何を
「初陣なのにあんな働きしちゃったら大将に褒められちゃうんじゃないの?」
にやにやしながら肘でうりうりとついてくる
その顔は真っ赤に染まって
鉛の様だと感じた掌にも同じ色がべったりとこびり付いていた
がくがくと体が震え、指先の体温は消え去って真っ白に染まっていく
「なーに、今頃怖くなったわけ?まったくもう子供なんだから」
ぐしゃぐしゃと同じ色の掌に髪を撫でられることも意識の隅で、
もう何も知らない数刻前に戻る事が出来無い喪失感が
ただただ腹の底を気持ち悪く彷徨っているだけだった
掌で死んでいく天使の心音
word :: ロメア * 発展途上あいうえお題