VIVA!ぬいぐるみLIFE★


裏通りを歩く、ごつくて厳つい男の腕の中
ちんまり収まっている可愛い猫のぬいぐるみ。
その正体は!



「・・・God damn you!(ちくしょう!)」



英語を自在(?)に操る猫だったのです!(違)












「こんな事だったらもっと勉強しときゃ良かったぜ・・・」



黒猫のぬいぐるみがぶつぶつと独り言。
本当はこのぬいぐるみ、
魔国(仮)から来た魔女(not女)
その名はダテマサムネ。
人間界に修行に来たはずなのに、何故かぬいぐるみに入り込んでしまった
ちょっと(かなり)アホな人。



「おいコジューロー!どうにかしやがれ!」
「マサムネ様・・・おいたわしい・・・」
「とか言いながら耳引っ張るな!笑ってんじゃねぇ!」



御付のコジューローがどんなに頑張っても
ぬいぐるみからは出られない。
(むしろ楽しそうだが)



「このままじゃ、あの猿真似ヤローに負ける・・・」
「むしろもう負けてますよ」



一応人間界で修行するのが目標。
そんなマサムネにはライバルが。(勝手にライバル視してるだけ)
その名はサルトビサスケ。
結構なんでも器用にこなす人。
そのサスケも今、人間界に来ているはず。



「あいつに俺の先走らせるわけにはいかねぇんだよ!」
「あいつって誰ー?」
「そんなのあの忌々しいサルト・・・ビ」
「よっ、マサムネ」



振り返った先には
たった今、話題の中心だったサルトビサスケ。
何故か右手を小さい子と繋いでいるが。
不自然なまでの笑顔に、若干ぬいぐるみ(マサムネ)が汗ばむ。



「マサムネったらぬいぐるみの中はいったんだーへぇーダッサ」
「だっダサいとは何だちくしょう!」
「勉強しないで毎日箒乗り回してるからだよ」



はっ、と鼻で笑われ若干凹み気味のマサムネ。
助け舟を出したいコジューローだが、
自分も箒を乗り回してガラスを弁償した事があるので何も言えない。



「さすけ」
「あ、ごめんごめん。金平糖買うんだったっけ?」
「なんでねこしゃべってるの」
「この猫はね、人食い猫だから、人間の言葉を喋るんだよ」
「ヲイ」



大きな眼をマサムネに向け興味しんしんに聞くが
その一言でびくりと身体が震え
そっとサスケの陰に隠れてしまった。



「誰が人食いだ、誰が」
「マサムネ様は人を食べませんよ」
「・・・ほんと、に?」



恐る恐る顔を覗かせた幸村。
コジューローに渡されてじぃとマサムネを見た。
マサムネは一応声をかけてみる。



「よっよぉ、幸村」
「・・・だてむね?」
「や、俺はマサムネ、なんだけど・・・?」
「・・・だてむねー」



幸村がきゅぅ、とぬいぐるみを抱きしめた。
マサムネの心臓が破裂するくらい早く動き
顔が段々真っ赤になっていく。
(ぬいぐるみだから分んないけど)
抵抗することも忘れ、ただ呆然とされるがまま。
子供特有のふわふわした肌。
あー可愛いなーマジで俺がこんな身体じゃなけりゃ抱きしめてるんだけどなーと
意外と邪な考えを持っていたら



「・・・幸村」
「あ、ごめんね、さすけ」



繋いでいた右手を離したのがいけなかったのか。
サスケの不機嫌そうな顔に、
幸村は急いでサスケの右手と自分の左手をさっきのように繋いだ。
よくできたね、と頭を撫でるサスケに笑う幸村。
マサムネは少しだけその光景に悲しくなった。
そして物凄く佐助が羨ましかった。



「早く人間になりたーい」
「やめてください、某妖怪人間のような事を言うのは」
「帰りたーい。魔国(仮)帰りたーい」
「無理ですよ、さっき、扉閉まりましたよ」



人間界と魔国(仮)を繋ぐのはドア。
因みにドアが出現するのは一年に一回のみ。



「っつーこたぁ、俺はもしかしたら一年間この姿?」
「下手したら一生それですよ」
「・・・はやくにんげんになりたーい」
「ネガティブオーラ放出するのやめてください」
「俺も幸村と手ぇ繋ぎたい・・・」
「それはきっと無謀な事ですよ」



ほら、と指差した先を見れば
サスケと幸村。



「だめでしょ幸村。お外で手離したら俺が死んじゃうんだよ?」
「やだやだ!」
「じゃぁ、絶対に離さない?」
「はなさない!さすけ、しんじゃ・・・やだ」
「ほら幸村泣かないの」



ちゅ、と音を立てて、でこちゅー。
幸村は少し頬を赤くしていて。
それを普通にしたサスケはにっこにこ。
魔国(仮)に居た時はこんな奴じゃなかったよな。
そう思いながらも視線が明後日の方向に向いていくコジューロー。
そして



「幸村のでこちゅー・・・!」



思いっきり羨ましいオーラを出しながら
佐助を睨み、威嚇するマサムネ。
(もうすぐ鼻血が出そうな状態だけれども)



「(この人達いつまでこうしているんだろうね)」



そして魔国の王に言われてついて来ていた魔女(やっぱりnot女)、半兵衛は
屋根の上で深い溜息を一つ吐いた。