きみを殺す言葉を持っている
「正チャン、好きだヨ」
世にも奇妙な、と某番組に出てきそうな程奇妙な事が起こっている。
背後から聞こえる猫撫で声は思いっきり自分の上司のもので
いつも聞いている声と正反対のそれに背筋がぞくぞくする!
いや、気持ち悪すぎるこれは。何の冗談だ。
恐る恐る振り返ってみればにっこり笑った子供がそこに立っているだけ。
ひらひらとこちらに手を振っている。
うっかり反射で手を振り返してしまったが、はっと気がついた。
「沢田、もしかして白蘭さんの真似したの、君?」
「あ、上手かったでしょ?白蘭のお墨付きだよー」
あの人はまた仕事もしないで沢田ばっかりに構って…僕の仕事がまた増えるじゃないか。
ぐりぐり凝り固まった肩に親指を食いこませてマッサージをする。
マッサージチェア買おうかなと彼は密かに思っているのだがきっと白蘭が占拠して自分は座ることができないと考えるとむかつくので未だに買っていない。
まったくあのどうしようもないダメ人間め!マダオ!糖尿予備軍!ショタコン!
一通り考え付く暴言で罵倒していれば、トントン、と肩を叩いて此方を呼ぶ沢田。
「どうしたの沢田」
「入江さん、疲れてるんですか?」
「まぁね。どっかの白いのとか白いのとか白いのが仕事してくれなくて」
どうやったらあのサボり逃走癖は治るんだろうか。
あーもう頭痛いなー。お腹だけじゃなくて頭も痛いー。
「あの!」
「ん?」
「し、」
「?」
「正ちゃん大好き!!!」
真っ赤な顔してものすごい勢いで走り去る沢田を見送って
今、ものすごいこと言われたんじゃないかと顔が熱くなる。
「疲れ吹っ飛んだ…というか」
殺されそうだ、君の言葉一つで。
(ツナチャン僕にも言ってヨ、びゃっくんすきすきだいすきぃ!って!!)
(あんたはさっさと仕事しろ!!!)