じゃれるように噛み付いて
大空と呼ばれるボンゴレ]代目。
今日は敵対しているマフィアとの会談を行い、しかも守護者を連れてくるな。との手紙をつい先日渡された。
守らなければ、人質の命はない、と。
これって脅されてるんだよな、と思いつつも彼は守護者を連れてくることなく会談の席まで来た。
敵地のど真ん中で優雅に足を組んだまま椅子に座り、足元で寝そべって彼に甘える獣の頭を撫でている。
「ボンゴレ、貴方は随分とお美しい獣をお飼いになっていますね」
「えぇ、豹のアルビノらしいですよ。路地裏で拾ったのでよくは知りませんが」
「成程それは珍しい、是非我がファミリーに献上して頂きたいものですな」
「それは駄目ですよ、この子は私にしか懐いていませんからね」
ぐるる、喉を鳴らしながら喉を撫でる手に甘える獣。
それに美しく笑いかけるボンゴレ]代目は絵画の中から抜け出した光景のように美しい。
その場にいるものが一瞬魅了された後、彼らは我に返り
柔らかそうにはねた髪、つまりは頭部に、銃を突きつけた。
驚きもしないで薄ら笑いかける彼に気味悪さを感じながらも、銃を下さない。
「なら力づくで頂かなくては」
「ついでに、マフィア界一の、その力も」
「守護者が居ない中、ここまでのこのこと現れるなんてとんだ失態ですよ」
「私たちのファミリーを嘗めるなよ、若造が」
何を言われてもにこにこと笑ったまま微動だにしないボンゴレ。
気でも狂ったのではないかと彼らの頭に考えが過ったが
後ろから低い呻き声が聞こえてその考えは吹き飛び、振り返る。
足元に居た筈の獣が、見張り役としてついていた男の喉笛を噛み切っていた。
「ダメじゃない、獣だって油断してたデショ」
獣の口から言葉が飛び出て、目を丸くする中
それは、ごきんごきんと骨やら関節やらが外れる音をさせながら真白なヒトへと変化した。
その口元は真っ赤に染まり、ヒトは笑いながらそれを掌で拭った。
「白蘭、遊んでいいよ。壊れるまで、ね」
「ヤッタ、ツナチャン大好き」
ぽん、間抜けな音とともに首が飛んでいく。
止め処なく絶叫が部屋中に響き、真白な部屋は赤く染められていく。
鋭く研がれた爪は、じゃれつくように皮膚を切り裂いて、
ヒトの形をした獣は懇願するような声に目を細めて、絶叫に笑う。
「ほら言った通りですよ」
茫然と突っ立ったままの頭に、小さな東洋人はうっそりと嗤った。
(「彼は、俺にしか懐かないって」)