一面に広がる蒼空が如何してだか圧迫感を覚えて。
無意識に咳を一回。
あの屋上ダイブした時のフェンスは完全に直されている。
区切られたコンクリートの床を見つめれば
足元に硬い何かが、こつんとぶつかる。


「やまもと?」


それはあの赤ん坊に貰ったバット兼、凶器で。
鈍く蒼を写すそれを拾い上げてきょろりと周りを見れば
建物の陰からにょっきりと足が飛び出ていた。
ぺたらぺたらと間抜けな足音を立てながら其方へ近付けば
ごろりと寝転がって目を閉じたやまもとが居た。
わざとらしいいびきに苦笑して隣に寝転がる。


「狸寝入りなんかしなくてもいいのに」


ばれたか、とおどけた様な声を期待していた此方の予想とは違って
相も変わらずいびきをかいたまま寝ている。
そして見えるのは、此方もわざとらしいほど澄み切った、蒼空。
光が眩しくて掌越しに太陽を見た。
オレンジ色に染まる掌と指の隙間から見える蒼。


「奇麗だなー…」
「空が?」
「…やまもと、いつ起きたのさ」
「最初っから」


で、何が奇麗なんだよ?
くつくつ笑いながら片方の手を
持ち上げていない自分のそれと絡ませた。


「全部、空も、この風景も」


視界の端っこにフェンスが映った。
修復された、あの場所が。



「そう思わない?」
「じゃぁさ、」
「ん?」
「今度、また一緒に落っこちる時は、こんな日に落っこちような」