苛立たしげにカップに口を附けた。
中身はエスプレッソではなく、カプチーノで。
チッ、と舌打ちをした。


(嗚呼苛々する、あの教え子には。)


あいつの所有者は自分。
あいつは俺のものだと、10年間思っていたのに。


(、ツナ、)


幸せそうに会話をして。
小さく、くすくすと笑って。
見せ付けるように唇を重ねている。


(雲雀、いつか殺す)


目が合った瞬間、
奴はそれはもう憎らしいほど唇を吊り上げて
唇を動かした。




『綱吉は僕のものだよ』




ガチャン、とテーブルの上に置いたカップ。
たぷん、と揺れたカップチーノ。
舌の上が慣れない甘さを感じ、
ソーサの上においてあったスプーンでグルグルと中身を掻き混ぜた。




『君は一生僕には勝てないよ、赤ん坊』




いつだったか、廊下で銃口を突きつけた時
雲雀が余裕の笑みで、言った。




『綱吉は君じゃなくて、僕を選んだんだから』




(嗚呼、矢張り苛々する)


無心で掻き混ぜたそれを一口、口に含めば
先程よりも増した甘さに吐き気がした。
ミルクに珈琲が負けている。
白に黒が負けている。


(…ツナ、)







白い雲に負けた、黒い殺し屋のお話。