(スピカ)


まっくろな空にピカピカひかる星。
まっしろなトコが、なんだかツナみたいだ。
ふわふわと笑っているとき、みたいな。



(でもあのえがおはおれのじゃない。)



めったに開けない本棚の中。
分厚い百科事典を引っ張り出してもう一度上を見上げた。
ぴかぴか、ひかる、しろい星。



ページを捲って探せば、スピカの文字。
(ツナのほし。スピカ。)
ツナの星は連星らしい。にこでいっこ。
(なんだか本当にツナみたいだ。時々人が変わったみたいにころころ変わるから。)
太陽の700倍の明るさになんだか納得した。
(だって俺にとってツナは太陽なんかよりもずっとずっと眩しい存在。)



にゃぁ、猫の声が聞こえた。
猫ももしかしたら俺みたいにツナの星に惹かれて鳴いているのかもしれない。
あいつは優しいから、きっとおそるおそる頭を撫でるに違いない。
チワワにまで怯えていたから。ついこの間。



(そんなアイツを変えたのも、俺じゃぁ、ない。)



ページの端っこに夫婦星の文字。
アルクトゥルス。
オレンジ色の、ほし。
(それはなんだかどこかでみたような色。)
時々見るツナのおじさんによく似ている。
(正直おじさんじゃないことなんて前から分かってた。ツナに似ても似つかないから。)
きらきら光るあの髪が、そっくりで。
あの星になれない自分が、むしょうに悔しくなった。









(ねぇなんで、なんでおれじゃないんだ。)
(いままでのおまえのせかいのなかじゃ、おれがいちばんだったのに。)
(いつから、おれからはなれていった?)









(青春やまつなのはずがいつのまにか片想いもっさんとディノツナ。)
スピカ / Plastic Tree