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(ザザ降り、ザザ鳴り。) 眠れない。 ざぁざぁ 砂嵐の画面。 ぐらぐら 揺れる意識。 目を瞑れば顔のない人がこっちを見て哂うんだ。 誰かの声が聞こえても、取り残されたまま。 (其れは一種の孤独に似てて) モノクロームの世界を塗りかえる、赤。 だからまたほら眠れない。 (散歩にでも行ってこようそうすればきっとこんな気持ち晴れていくからああきっとそうだ) 小さく呟いてぱちり、画面を消した。 ザザ鳴りの画面が消えて、一瞬広がる暗い闇と無音。 外の明かりに吸い寄せられるようにふらふらと玄関を出た。 真っ暗な中に白いガードレール。 とん、寄りかかればその冷たさに目を閉じた。 遠くから聞こえる、ザザ鳴り。 瞼の裏側でノイズ画面がちらつく。 顔のない人。 また俺を見て笑ってる。 頬に冷たいものが伝う。 涙?いや、きっとこれは雨。 耳元で聞こえるノイズのような雨音。 ぎりぎり ぎちぎち。 胸の奥が揺れてる。 「なーにしてんのツナヨシ」 ぱちり、目を開ければ、雫を落としている金色の髪。 ガードレールに上って、こっちを見下ろしている所為か 長い前髪に隠れた目が、必然的に見えた。 ビー球みたいな、水色。 ティアラが水銀灯に反射して輝いた。 「ないてんの?」 ひたり 頬に当てられた掌が熱くて ぎゅぅ 力いっぱい握り締めた。 「ないてないよ、ベル」 歪んだ泣き笑いしか浮かべられない自分を、悔やんだ。 (こわがり つよがり 気付かないで 気付かないで) ザザ降り、ザザ鳴り。 / Plastic Tree |