『お前など、要らぬ子じゃ!』


縁側に座り、庭先をぼう、と見つめていれば響き渡った金切り声。


(嗚呼、またあの女が喚いているのか)


青く澄み渡った空。ちちち、空を飛ぶ小鳥の声。さんさんと優しく照りつける太陽。ゆっくりゆっくり、眼を閉じた。この世の全てを拒絶するように。











The children who continuelaughing at a lie in this way













「ダンナ」


暖かい陽気に寝転がって、うとうと、夢現を楽しんでいれば、ゆっくり肩を揺さ振られる。薄目を開ければ自分に近しい存在である忍。


「・・・佐助、か」
「こんなとこで寝てたら危ないだろ?」


目の前の身体からは血臭がした。


「殺したのか」
「やっぱわかった?」
「血の匂いがする、お前の服から」
「鼻がいいね、ダンナは」


腕を引かれ、すっぽりと抱きしめられれば、橙の髪が少しだけ赤く染まっている気がした。きっと佐助は苦笑つつ、心の中では嬉しそうに笑っているのだろう。けれど決してそんな様子は見えない、見せない。


「嬉しいか?俺が血に敏感になる事が」
「うん、すっごく嬉しい」
「・・・そうか」


何故そんなに嬉しいのかなんて全然分からないけれど、ゆっくり腕を回して背を撫でた。


「だってダンナは赤が似合うんだから、ね」
「血に塗れろ、と言っているのか、お前は」
「そうだよ。だからこんな青い痣はつけないで」
「っ、痛いぞ、佐助」


唇の端には紫色に変色した、切傷。顔だけではなく身体のあちらこちらに浮かぶ上がる青い痣と全てを撫でる手つきは優しい。やがて中心に触れた手はねっとりとしていて。ぞくりと背筋が震えた。甲高い声を発すれば、くつり、聞こえた喉の奥から響くような笑い声。


「こんな青い痣、幸村には似合わないよ」
「っ、は」
「ねぇ、これつけたの誰?」
「・・・は、はうえ、だ」


振り下ろされる白い掌が脳裏に奔ったと同時に、裏庭に熱が押し込まれた。耳元には佐助の熱い吐息だけが聞こえてぐちゃぐちゃに蕩けていきそうな思考の中で、いつのまにやら剥き出された肩に噛み付いた。


「幸村、これをあげる」


ひやりと掌を冷やしたそれは暗器。にこりと微笑んだ佐助は段々と身体の熱を高めながら、冷たいそれを手に握らせる。


「これ、は?」
「魔法の道具。幸村が赤くなって綺麗になる為の」


共有する熱に喘ぎながらも頂点に上り詰めていく感覚。それは青く澄み渡った空や飛ぶ小鳥、太陽なんかよりもずっとずっと愛おしい。佐助の言葉は脳に入ってぐるぐる廻って、奥底から支配する。


「殺しちゃえよ、みんな」


笑った佐助が、耳元で呟いた。









嘘をかくして哂いつづけるこどもたち