僕らが生きた世界の果ては







そうだ、
ただひたすらに深い闇の中。
今の俺には、ソレが全てなのだ。



息をしているのかさえ、分からない。
やけに大きく鼓動だけが闇に響いている。



ああ、ひだりてが温かい。
ひだりてだけが、温かい。
そういえばあんたのての温度はこんくらいだったな。
満月の日に握ったてのひらは。
月の光が差す部屋で
泣きながら縋ったあんたのては。

「さすけ」

「さすけ、すまぬ」

「俺は、このまま、お前の傍で―――」




そ、と目を開けてみれば今にも泣きそうなほど眼に涙を溜めたヒト。

「おいで、ゆきむら」

掠れた声。しっかりその言葉が届いたのかは分からないけれど
無理矢理腕を伸ばして、笑った。

「おいで」

驚いたのか、少し目を大きく開いて
一瞬の後、今にも泣き出しそうな顔で笑った。
伸ばされた手を掴めば、闇の中で感じたあの温かさ。
失われることなく、ゆるゆるとただ其処に存在しているだけの、熱。
決して熱くない、けれども冷たくもない。
中途半端な手の温度が、ゆっくりゆっくり移動してくるようで。
ゆっくり目を閉じれば闇に覆われ。
確かな左手の温もりが、
段々と重なって一つになっていく鼓動が、
意識でさえとろけていく感覚が、
ゆっくりゆっくり、赤い闇に俺たちを沈めていった。