がばり、と起き上がれば、
そよそよ、風が吹き髪を凪いだ。
空は真青で足元は緑色で。
目に掛かる橙を掻き上げ
ごろり、緑の上に寝転んだ。
赤に塗れていた両手は其処には無く、
更にはこの数年、袖を通すことの無かった着流しを着ていた。





(嗚呼、これは。)





都合の良い夢。
しくりしくり、と胸が痛んだ。
あれほど孤独には慣れていた筈なのに
いつの間にか、あの赤が近くに居なければたまらなくさみしくなったのはいつからか。
そして、おれは





「また、ひとりになる。」





「誰がひとりになるのだ?佐助。」





むくれた様な声。
仰向けの侭寝転んでいた俺の隣に誰かが並んだ。
伸ばされた茶の髪。
ふわりと揺れた着物の裾。
熱くて融けてしまいそうな体温。





「佐助、俺は此処に居るぞ。」
「・・・わかってるよ、幸村。」





投げ出されていた手をとって、ゆるり、指を絡めれば
かちり、爪がぶつかり合って小さく音を立てる。
緩く風が吹けば何処からか桃色の花弁が舞い落ちて
緑を、俺たちをも、桃に染めていく。
そっと隣を見れば、薄茶色の瞳と目線が合い くすくす笑いながら抱きついてくる。 その仕草が無性に愛しくなって、腕に掻き抱いた。




「このまま、」





舞い落ちる桃色。
伸ばされた、白い手。
髪に口付ければ、鼻の頭を優しく食まれ
ゆっくり、唇を重ねた。










「ずっとずっと、ふたりだけで。」