いとしいくびいとしいくびいとしいくび!
轟々、風の音。
戦場の音。
雄雄しい、猛猛しい声。
刃と刃が鍔競る、金属音。
ぬるり、生暖かい飛沫を上げ、倒れる命。
その全てが、聞こえない。
此処は何処だ。
いつの間にか抱いていた、首だけになった佐助が哂った。
「歪みの国だよ、アリス」
「アリス、苦しいよ」
「アリスと呼んだら窒息死させるぞこの駄目忍び」
「はいはい旦那」
腕に抱いている首からくぐもった声が聞こえた。
きつく抱きすぎたか、ゆるりと腕の拘束を解けば、
いつも通りの瞳と、ゆるり、上がった口角。
橙の髪が、眩しい。
「旦那?どうしたの?」
「なんでもない」
「お腹が空いたの?じゃぁ俺を食べればいいよ」
「うるさい、黙れ」
「俺、美味しいよ?」
にこにこと笑って、頻りに食べろと促してくるこいつをどうにかしてくれ。
腹は確かに減っているけれど、食べるなんて莫迦みたいなことを言うこいつが憎らしい。
「旦那、泣いてるの?お腹空いたから?」
「泣いていないわ莫迦者。確かに腹は減ったが」
「じゃぁ食べてよ。俺のこと。ぜんぶぜんぶぜんぶ」
「いやだいやだいやだ。佐助を食べたくない、おれは」
「だって俺にはそれしかないだろ?たべてよ、おれのこと」
壊れたように微笑続ける佐助。
くしゃりと橙の髪を撫で、顔を埋めれば噎せ返る様な甘い香り。
もしかしたら佐助の言うことには一理あるのかもしれない。
匂いだけは、確かに美味そうで。
「美味そうな匂いがする」
「でしょ?食べてよ。はやく」
「でも、食べない」
「なんで?何で食べてくれないの?」
首の眉が顰められ、顔が泣きそうに歪んだ。
宥めるように耳朶を甘噛みすれば触れ合った頬が、つと濡れた。
生首になっても、お前は泣き虫なのだな、呟いた。
「食べてよ、おれの存在意義、取らないで」
「取るつもりなどない、が食べたくないのは事実だ」
「なんで?何で食べないの?」
「………」
「なんでだよ…なんで…」
だって、いとしいいとしいいとしいくびだから!
(歪アリパロにしようと思ったけど気付いたら違ってた)
(ありこは幸村で猫は佐助だと思うの。政宗はもち芋虫ね(影の薄さナンバーワン))
(さすけチシャは多少不安定で泣き虫な方がいい)
(あ、歪アリ知らない方ごめんなさい(遅))