乙女は二月十四日に命をかけている

「あっれ、かすがじゃん何してんの」

学校帰りに寄ったいつものスーパー
レジの前の山積みにされた大量の茶色に顔を顰めた(だって俺甘いもん嫌いだし)

「き、貴様!何故ここにいる!」
「何故って…いつもここ寄って帰るし」
「うるさいこのミリタリーマニア!」
「なんか有らぬ疑い掛けられてるよね俺って」

んで、何してんの。と溜息一つ吐いて聞けば
今まで見た事もないような真っ赤な顔で怒鳴られた

「謙信様にチョコレートを渡すのだ!分かったのなら黙っていろ猿が!」

ドスドス足音を立てて去っていく後ろ姿に呆然としながら
ああそっかそういやもうすぐバレンタインかぁと
チョコレートの山に目を向けた。

「………俺もあげるべきかなぁ」

いや、でもあの人和菓子の方が好きなんだよなぁ団子とか大福とか
去年も何だかんだで団子だったし
頭の中では団子を美味そうに頬張る想い人の姿を描いていて
自然に頬が上がってうっかりニヤけてしまった
(俺は不審者じゃない、これは可愛いダンナが悪い)

「ま、買っていって損はしないかな」

甘味に目がない人だから喜んでくれると思うし
既に頭の中からチョコ菓子のレシピを引っ張り出している自分に苦笑しながら
合挽肉のミンチの上に板チョコをぽいと置いた