この唄は
こんなにも
悲しいものだと。
マフィアのアジトの敷地内に教会があるという事が不釣り合いな気がする。
ボンゴレ十代目沢田綱吉、それも10年前の、はステンドグラスを見上げて小さく呟いた。
「そんなことはないヨ、意外と信心深い人もいるんだヨ、マフィアってやつにはネ」
「なんだか奇妙な気がする、人の命を奪って祈るなんて」
「ワタシはヒトをコロシマシタ、イトシイ人ヲ!アア神よ!!」
「誰の真似」
「チョット前の僕」
ビックリした?小首を傾げてにっこり笑えば目を大きくしたツナチャンが可愛らしくて
ちょんと鼻の頭にキスを落した。
其れは例えばマリアの微笑、慈しむ様な。
少々前屈みになって額をこつんとぶつければ零れ落ちそうなほど大きな目と視線が合う。
愛しい茶色の眼球に己の白が吸い込まれる感覚がした。
嗚呼、愛しい。なんて愛しいのだろうこの子供は!
「白蘭は神様なんて信じてないと思ってた」
「こう見えて僕、神様ってやつ信じてたんだヨ、信じてもらえないかもだけド」
「信じられないよ、究極権力が欲しいなんて言ってる奴」
「酷いヨ、ツナチャンは。僕だってそこまでヒトデナシじゃないんだから」
ほら、10年後のキミを殺した時はちゃんと祈ったわけだし。
ちゃんと懺悔できたよ、えらい?嬉しい?
にこりっ。擬音が付きそうなぐらいに笑ってみれば、はぁと溜息を吐かれた。
アレ、僕何かした?
ネェネェツナチャン、僕何か変なこと言ったの?
「10年後の俺を殺した、なんて言われて嬉しいわけないでしょ」
「そうなの?」
「白蘭は嬉しいわけ?」
「だって僕の未来はツナチャンのものになるんだよ。嬉しくないわけないジャン」
「ごめん、お前と俺って思考回路がまず違うんだったね」
それだけ言ってこつんこつんと靴の踵を鳴らしながらパイプオルガンに近づいていく。
小さな後ろ姿が離れていくことに心がざわざわと鳴り出す。
行かないで往かないで。
前みたいに、置いて逝かないで-----------。
不安がる僕を余所にツナチャンはパイプオルガンを鳴らし始めた。
びーだががーだか知らないけれど単体ではとても荘厳だなんて言えるような音じゃないのは確かだ。
ぼうっとそれを見ていれば、一つ息を吐いたツナチャンはゆっくり音を紡ぎだす。
音の洪水が起こる中に埋もれそうな声が一つ。
透き通るような音は聞いたことがある。
懺悔をする前の日、彼の葬儀を遠くで眺めようと思っていた、あの日偶々通りすがった教会で聞こえた音楽。
中からは啜り泣きが聞こえ、オルガンと小さく響く歌。
「In Paradisum、っていうらしいですね」
リボーンにこれくらい歌えるようにしとけって言われて。
振り返って笑う子供はきっとこの歌の意味を知っている。
あの家庭教師が思っているほどこの子供は馬鹿じゃない。
葬儀の際に歌うレクイエム。
自分で未来の自分の葬儀を行うのか、この子供は。
じわり、目の前が濁った。
笑う顔が見えなくなる。全部が滲んで逝く。世界も、何もかも。
「笑いながら泣くなんて、器用すぎだと思うけど」
声のする方へ歩いて行けば温かいものに包まれた。
胸程までしかない小さな子どもの体温に安心する。
ヒトハダサミシイってやつ?
なんか珍しいね、白蘭がそんなこと言うなんて。
僕だって人間なんだから、たまにはあるよそんなことも。
何となく見えた苦笑の様な表情の子供。
額に一つ、キスをした。
許しを乞うための。
(嗚呼、ゴメンナサイ神様。僕は、この子を2回までも大空から堕とした。)
ボンゴレ十代目沢田綱吉、それも10年前の、はステンドグラスを見上げて小さく呟いた。
「そんなことはないヨ、意外と信心深い人もいるんだヨ、マフィアってやつにはネ」
「なんだか奇妙な気がする、人の命を奪って祈るなんて」
「ワタシはヒトをコロシマシタ、イトシイ人ヲ!アア神よ!!」
「誰の真似」
「チョット前の僕」
ビックリした?小首を傾げてにっこり笑えば目を大きくしたツナチャンが可愛らしくて
ちょんと鼻の頭にキスを落した。
其れは例えばマリアの微笑、慈しむ様な。
少々前屈みになって額をこつんとぶつければ零れ落ちそうなほど大きな目と視線が合う。
愛しい茶色の眼球に己の白が吸い込まれる感覚がした。
嗚呼、愛しい。なんて愛しいのだろうこの子供は!
「白蘭は神様なんて信じてないと思ってた」
「こう見えて僕、神様ってやつ信じてたんだヨ、信じてもらえないかもだけド」
「信じられないよ、究極権力が欲しいなんて言ってる奴」
「酷いヨ、ツナチャンは。僕だってそこまでヒトデナシじゃないんだから」
ほら、10年後のキミを殺した時はちゃんと祈ったわけだし。
ちゃんと懺悔できたよ、えらい?嬉しい?
にこりっ。擬音が付きそうなぐらいに笑ってみれば、はぁと溜息を吐かれた。
アレ、僕何かした?
ネェネェツナチャン、僕何か変なこと言ったの?
「10年後の俺を殺した、なんて言われて嬉しいわけないでしょ」
「そうなの?」
「白蘭は嬉しいわけ?」
「だって僕の未来はツナチャンのものになるんだよ。嬉しくないわけないジャン」
「ごめん、お前と俺って思考回路がまず違うんだったね」
それだけ言ってこつんこつんと靴の踵を鳴らしながらパイプオルガンに近づいていく。
小さな後ろ姿が離れていくことに心がざわざわと鳴り出す。
行かないで往かないで。
前みたいに、置いて逝かないで-----------。
不安がる僕を余所にツナチャンはパイプオルガンを鳴らし始めた。
びーだががーだか知らないけれど単体ではとても荘厳だなんて言えるような音じゃないのは確かだ。
ぼうっとそれを見ていれば、一つ息を吐いたツナチャンはゆっくり音を紡ぎだす。
音の洪水が起こる中に埋もれそうな声が一つ。
透き通るような音は聞いたことがある。
懺悔をする前の日、彼の葬儀を遠くで眺めようと思っていた、あの日偶々通りすがった教会で聞こえた音楽。
中からは啜り泣きが聞こえ、オルガンと小さく響く歌。
「In Paradisum、っていうらしいですね」
リボーンにこれくらい歌えるようにしとけって言われて。
振り返って笑う子供はきっとこの歌の意味を知っている。
あの家庭教師が思っているほどこの子供は馬鹿じゃない。
葬儀の際に歌うレクイエム。
自分で未来の自分の葬儀を行うのか、この子供は。
じわり、目の前が濁った。
笑う顔が見えなくなる。全部が滲んで逝く。世界も、何もかも。
「笑いながら泣くなんて、器用すぎだと思うけど」
声のする方へ歩いて行けば温かいものに包まれた。
胸程までしかない小さな子どもの体温に安心する。
ヒトハダサミシイってやつ?
なんか珍しいね、白蘭がそんなこと言うなんて。
僕だって人間なんだから、たまにはあるよそんなことも。
何となく見えた苦笑の様な表情の子供。
額に一つ、キスをした。
許しを乞うための。
(嗚呼、ゴメンナサイ神様。僕は、この子を2回までも大空から堕とした。)